「ごめんね」しか言えなかった日

45歳で妊娠がわかり、たくさん悩みました。

年齢のこと。

お金のこと。

体力のこと。

何度も夫婦で話し合い、私はこの子を産むと決めました。

不安は消えませんでした。

それでも、お腹の中の命を守ろうと決めたのです。


妊娠がわかってからは、お腹に話しかけるようになりました。

「元気に育ってね。」

「お母さん、頑張るからね。」

そう声をかける時間が、とても幸せでした。


でも、ある日の健診で先生の表情が少し曇りました。

画面を見つめる先生。

静かな診察室。

嫌な予感がしました。


先生は静かに言いました。

「心拍が確認できません。」

その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になりました。

何を言われているのか理解できませんでした。


さっきまで、お腹の中で生きていると信じていた命。

未来を想像していた命。

その未来が、一瞬で消えてしまいました。


病院からの帰り道は、ほとんど記憶がありません。

ただ涙だけが止まりませんでした。


家に帰っても、何も手につきませんでした。

何度もお腹をさすりながら、

「ごめんね。」

「守れなくてごめんね。」

それしか言えませんでした。


4人目の時とは違いました。

今度は産むと決めていました。

迎える準備も始めていました。

だからこそ、悲しみはとても大きかった。


今でも時々、その子のことを思い出します。

もし無事に生まれていたら、今頃何歳だったかな。

どんな顔で笑っていたかな。

そんなことを考える日があります。


命の長さではなく、命がそこにいてくれた時間が大切なんだと、この子が教えてくれました。

短い時間だったけれど、私は確かにこの子のお母さんでした。

その事実は、これからも変わりません。


この子は私の腕の中で育つことはありませんでした。

でも私の心の中では、これからもずっと家族です。

忘れることはありません。

これからも、ときどき思い出しながら生きていこうと思います。

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