不妊治療③〜体外受精1回、奇跡の授精

人工授精が7回うまくいかなかったとき、先生から「体外受精を検討してみましょう」と言われました。

■ 体外受精への一歩

正直、踏み出すまでに時間がかかりました。

費用が大きく増えること、身体的な負担が増えること、それでもうまくいかない可能性があること——全部わかったうえで、「それでもやってみよう」と決めるのは、簡単ではありませんでした。

夫と話し合って、「やれることはやりきろう」という結論になりました。このときの夫との会話は、久しぶりに同じ方向を向けた気がして、少しだけほっとしたのを覚えています。

■ 採卵〜移植まで

体外受精では、まず排卵誘発剤で卵胞を複数育て、採卵をおこないます。採卵の処置は麻酔をかけておこなうこともあり、終わった後はしばらく休んで帰りました。

受精卵を培養して、いい状態のものを凍結保存。タイミングを合わせて移植をおこなう、という流れでした。

採卵の日、移植の日——それぞれの前夜は眠れませんでした。

■ 精子を胸に挟んで病院へ

体外受精では、採精を自宅でおこなうことがあります。

夫が朝に採取した精子を、私が病院まで持参するんです。そのとき先生から「体温に近い状態で運んでください」と言われて——胸に挟んで持って行きました。

初めてのときは「えっ、そうするの?」と戸惑いましたが、大切な命の素を守るためだと思えば、なんてことはない。でも電車の中でこっそり胸を押さえながら「早く着いて」と念じていたのは、今となっては笑い話です。

不妊治療ってこういうこと全部、一人でこなしていくんですよね。誰にも話せないまま。

■ 1回目で奇跡の陽性反応

人工授精7回を経て、体外受精は1回目。

移植から2週間後の判定日、病院から電話が来て「陽性です」と言われた瞬間、しばらく言葉が出ませんでした。泣くのかと思っていたのに、なぜかぼーっとしてしまって、電話を切ってからしばらくしてやっと実感が来ました。

あんなに長かった道のりが、体外受精は1回目で結果が出た。奇跡だと今でも思っています。

何年もかかったこと、何度も落ち込んだこと、全部がそこに詰まっていた気がします。

■ 治療を終えて思うこと

不妊治療は、体だけじゃなくて心にもお金にも負担がかかります。「もうやめようかな」と思った夜が何度あったかわかりません。

それでも今、子どもがいます。治療を続けてよかったとは思っています。

でも、うまくいかなかった場合もあり得た。治療の結果は誰にも保証できないし、だからこそ今も不妊治療で苦しんでいる方へ、「あなたは十分頑張っている」と伝えたいです。

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